「紅葉前線」はどう動く? ― 色づく日本列島の科学
加藤学習塾ブログ
2025/10/18
秋のニュースでよく耳にする「紅葉前線」。
桜前線と同じように、北から南へゆっくりと日本列島を下っていきます。
では、紅葉前線はどうやって決まっているのでしょうか?
紅葉は、主に「昼と夜の寒暖差」と「日照時間の短さ」で進みます。
日中に光合成を行い、夜に温度が下がることで、葉の中で“アントシアニン”という赤い色素が作られます。
この寒暖差が大きいほど、色鮮やかな紅葉になるのです。
さらに、紅葉のスピードを左右するのが“標高”です。
山の上ほど気温が低いため、標高100m上がるごとに約0.6℃下がります。
そのため、同じ地域でも山頂から麓へ、まるで波が下るように紅葉が進むのです。
気象庁や観光協会は、こうした気温データをもとに毎年「紅葉前線マップ」を作成しています。
これがニュースで紹介される「紅葉前線」です。
ちなみに、最初に紅葉が始まるのは北海道の大雪山(9月中旬ごろ)、最後に見頃を迎えるのは九州南部(12月上旬ごろ)。
日本は南北に長いため、約3か月かけてゆっくり紅葉が旅をする国なのです。
自然が描く“季節のグラデーション”。
紅葉狩りに出かけるときには、その背景にある科学の物語にも思いを馳せてみると、景色がより深く感じられますね。