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日本の繊維産業の話~産業空洞化とグローバル社会~
加藤学習塾ブログ
2022/05/09
みなさん、こんにちは。
今日は日本の繊維産業についておおまかな話をします。
日本の繊維産業は明治時代の殖産興業で成長をして、戦後から高度経済成長期にかけてさらに発展をして1960年代~70年代には世界を代表する生産国・輸出国でした。
しかし、1980年代の円高の影響で国内での生産・海外への輸出に陰りが出てきます。
そこで、ユニクロをはじめ、日本の多くの繊維産業関連企業が海外に工場を移転していきました。海外に移転することで、人件費を抑えることが出来て、日本からの輸出コストを考えなくてよくなり、新たな市場の開放につながるというメリットがあります。これが「産業の空洞化」という現象ですね。
そして、時が進むにつれて、より安価な人件費が得られることや新たな市場開放のために別の国への海外進出が進みました。
1990年代は中国への進出が顕著であり、2000年代に入るとベトナム・タイなどの東南アジアに進出して、2010年代に入ると、カンボジア・インドネシアなどの他の東南アジアや、インド・パキスタン・バングラデシュといった南アジアへの海外進出が進んでいます。
最近日本で売られている衣服を見ると、インド製やバングラデシュ製が増えてきたのはこういう背景があります。
中学生・高校生が社会を学ぶときに気を付けないといけないのは、東南アジア・南アジアの国々が最近繊維産業の生産量・輸出量が増えているのはこうした背景があることをおさえておきましょう。
繊維産業がなぜどんどん別の国へ海外進出が進むかというと、一つは産業の特性があります。
それは、たくさんの工程と人手が必要だからです。
衣服を作るのには、糸を作る「製糸」・布を作る「紡績」「織物業」・色を決める「染色」・服の「デザイン」「採寸」・「パーツの作製」・服を作ったりパーツを組み合わせる「裁縫」などたくさんの工程があり、また機械だけでは難しく人の作業や職人の技術を要するものもあるため、たくさんの設備費
・人件費がかかります。そのため、賃金が低い新興国の方が製作コストを大幅に抑えることができます。
また、先進国の企業がノウハウを新興国に伝えることで、その新興国の基盤産業が出来て経済発展と生活水準の向上につながります。
繊維産業からグローバル社会の1面をみることが出来ますね。
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