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香水が時代を変えた—歴史の裏側にある香りの物語
加藤学習塾ブログ
2025/12/15

香水はおしゃれのためのアイテムというイメージがありますが、その本質は“生活を改善するための化学技術”でした。古代エジプトでは香りは宗教儀式や防腐処理に欠かせず、王族の生活に深く根付いていました。また、中世ヨーロッパでは“悪臭が病気を呼ぶ”と信じられていたため、香水は健康維持のための道具として使われていました。
特にフランスの歴史には香水が深く関わっています。ルイ14世の宮廷では「匂いの宮廷」と呼ばれるほど香料文化が発達しました。その背景のひとつが“衛生環境の悪さ”。当時は頻繁に入浴する習慣がなく、体臭を隠すために大量の香水が使われ、結果としてフランスは世界的な香水の名産地になったのです。
香水史で革新的だったのが、1912年の「シャネルNo.5」。それまで香水は天然由来の香料が中心でしたが、No.5は人工のアルデヒド香料を積極的に使い、“人が自然界で嗅いだことのない香り”を実現しました。これが「女性が自分のために香りをまとう時代」を象徴し、ファッションと香水が一体化する大きな転換点となりました。
現代では「香りによる心理効果」も注目されています。ラベンダーは鎮静、シトラスは覚醒、ウッド系は集中力向上など、科学的な研究が進み、香りは単なるアクセサリーではなく、生活の質に影響する“暮らしの技術”となっているのです。
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