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十五夜とお月見の不思議
加藤学習塾ブログ
2025/09/15
秋の行事といえば十五夜のお月見。日本では「中秋の名月」と呼ばれ、団子やすすきを供えて月を眺める風習があります。今では季節の風情を楽しむ行事として知られていますが、実はこの習慣は古代中国から伝わったもので、もともとは宮廷貴族が月を見ながら詩を詠み、酒を酌み交わす雅な遊びだったのです。
平安時代に日本へと伝わり、やがて農耕文化と結びつきます。稲作にとって月の満ち欠けは大切な指標でしたから、月に感謝し、豊作を祈る意味が強まっていきました。供える団子は月の形をかたどり、15個並べるのが一般的。すすきは稲穂の象徴であり、魔除けの力もあると信じられてきました。
しかし「十五夜」といっても、必ずしも満月とは限りません。旧暦の暦法と天文学的な満月のタイミングが完全には一致しないからです。満月に近い「十三夜」「十六夜」も合わせて楽しむ文化があったのはそのため。欠けた月にも趣を見いだす日本人らしい感性がうかがえます。
一方で中国では「中秋節」と呼ばれ、家族が集まり月餅を分け合います。韓国では「秋夕(チュソク)」として祖先に感謝し、親族と過ごす大切な日とされています。月を見上げる行事はアジア各地に存在しますが、その意味づけや料理は少しずつ異なり、文化の多様性を感じさせます。
夜空を見上げると、数百年前の人々も同じ月を眺めていたことに気づきます。季節の行事として楽しむだけでなく、自然と共に生きてきた先人たちの想いを感じ取ることができるのがお月見の魅力です。今年の十五夜は、団子を用意して昔の人々と同じように月を見上げてみてはいかがでしょうか。
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