なぜ“冷やし中華はじめました”は7月の風物詩になったのか?
加藤学習塾ブログ
2025/07/25
飲食店の店先に「冷やし中華はじめました」の貼り紙が出ると、「ああ、夏が来たな」と感じる人も多いのではないでしょうか。もはや7月の風物詩ともいえるこのフレーズ。ではなぜ、冷やし中華はこの季節に定番化したのでしょうか?
冷やし中華の起源には諸説ありますが、最も有力なのは1937年、東京・神田の中華料理店「揚子江菜館」が発案したという説です。夏の暑い時期でもさっぱり食べられるようにと、ラーメンの麺を冷やし、具材と酸味のあるタレをかけて提供したのが始まりとされています。
酸味のあるタレは、暑さで食欲が落ちる時期でも食べやすくする工夫。また、トマトやきゅうり、ハム、錦糸卵など色とりどりの具材を使うことで、見た目にも“涼感”を演出しています。冷やし中華は、まさに味覚・視覚・嗅覚を使って涼を楽しむ料理なのです。
「はじめました」の貼り紙が注目されるようになったのは、1980年代ごろ。シンプルでインパクトのあるその表現が話題となり、やがては文化的アイコンとして定着しました。今では一種の“季語”のように扱われることもあります。
実はこの貼り紙、販売を開始したことを伝えるだけでなく、「うちの冷やし中華は本格派ですよ」という無言のアピールでもあります。さらに、見る側もどこか懐かしく安心する、そんな“夏の始まりの合図”として親しまれてきたのです。
こうして、冷やし中華は単なる夏メニューではなく、季節の節目を知らせる存在にまで昇華してきました。
今年もどこかの店先で、あの貼り紙に出会ったら、ぜひ一杯召し上がってみてください。
きっとその一口が、あなたの夏の記憶の一部になるはずです。